月旦3

魏の地味な人、李典について。
実に目立った活躍をしていたイメージが弱いのですが、そういう人だったのでしょうか。南陽の戦いと博望坡の戦いでは李典は敵の狙いをきっちりと看破して、曹仁とか夏侯惇に警告してるんですがねぇ。冷静沈着の言葉が似合う。
というか、演義を読んでいて気になるのは、博望坡の戦いで李典が于禁に「山に入って道が狭いのは敵に火攻めの備えがある。将軍に伝えねば」と言って、于禁が「よし、では俺が言ってくるからここは任せるぞ」って言って、まあ、結局火攻めされるわけですが。
で、問題は曹操が負け戦を聞いて。「夏侯惇、お前は多くの兵書を読みながら敵に火攻めのあることもわからなかったか。それに于禁も大将軍たる器を持っているのに」とかなんとか、細かくは手元にないのでわからないのですが、曹操様は李典を無視してらっしゃる。李典が最初に気付いたんだって。
南陽曹仁に至っては、「貴公は、そのように心配するぐらいなら武辺の職を辞めたらどうだ」とか言ってますし。あと張遼と仲悪いし。……ん? 李典、嫌われてない?
まあ、これだけあれば足りるだろう、って言って余裕で行こうとしてた時に諫言する、用心深い性質の人だったと思われるので、余裕かましてた上の将軍様としてはちょっとうっとおしいと思ったかもしれませんが。
あと結構強かったかもしれませんし。横山三国志赤壁逃亡時に張飛と一騎打ちしているひとコマがあります。あの頭巾はまぎれもなく李典。それと曹操が禰コウを呼びつけたときにも「万夫不当の猛将」として名が挙がってます。あと、登場が早いですよね。
李典の一番印象的なシーンは合肥の戦い。凌統甘寧がいがみ合っていて、孫権が「国のための戦いだから、私事の恨みはどうか収めてくれよ」といった後に、張遼楽進と李典が作戦を練っていて、一度張遼の策に反対した李典が「今は国の大事、私事は別だ」と言って、すぐさま張遼の指揮下に入るところです。呉軍と対照的に我を抑えてしっかりと仕事をする李典がカッコイイのです。